USCG オペレーションジャケットを英国気取りにカスタム

ブログの最終更新から2年も経ってしまいました。大変ありがたい事に「ブログが面白くて読んでます」と言っていただける事もあって、更新したい更新したいと常に思っているところではありますが、移転があったり、ご依頼もあったりという状態で中々ブログの更新も出来ませんでした。ネタはたまっておりますので、また掲載は再開していきたいと思ってはおります。


今回は大分前からお預かりしていた仕事だったのですが、かなり時間の必要なカスタムでしたので、夏の時間があるタイミングで行いました。現在の人員体制では同様のカスタムは難しいので、この点はご了承下さい。


英国にかぶれているUSCGの隊員がいたら、オペレーションジャケットを英国風にしちゃうのではないかという妄想からご依頼をいただきました。


英国のジャケットといえばバブアーという事で、ビデイル風にカスタムしたいと要望をいただきました。

要望をまとめますと、

・ゴードンチェックの裏地を張る

・袖裏もチェックにし、ロールアップした時チラ見せさせる

・衿はコーデュロイにする

・フロントはダブルジップにする

・カフスのボタンもボタンからパッチンに変える

以上のようになっております。


ここに、これまで自分が見てきたり直してきたミリタリーやバブアーの経験をぶつける形でカスタムいたしました。


以下、早速ですが完成の写真になります。




因みにご承知の方も多いと思いますが、元はこのような感じ。ODU(オペレーションドレスユニフォーム)です。





まず今回ラッキーだったのは、カスタムがバッチリ決まりそうな部材が入手できたところにあります。



一番目立つ裏地のゴードンチェックは、綿100で風合いのなめらかな上質な生地が入手できました。チェックはピンキリですし、シーズンで柄も変わってしまうためこの生地が入手できた事は大きかったです。



バブアーのジッパーといえばリングジッパーですね。一方アメリカのジッパーといえばTALONです。

そして今回取り付けたのは棒TALONのダブルジッパーです。このジッパーはありそうでないですよね?自分はこのジッパーがついてる服を今までに見た事がありません。年代的には80年代事の物かと思いますが、なんというかこの服にはあらゆる視点で見てピッタリなジッパーです。

テープ色もあってますからね。このジッパーを入手できた事もラッキーでした。




衿のコーデュロイは本体より少し濃いめの色合いで、ビデイルの配色バランスに近い雰囲気です。



そしてMASHさんで入手できるスコービルのミニドットホック。M-51、M-65のパーカーやジャケットに使用されているものです。こちらもミルスペックの物ですので小ぶりなホックながらも堅牢で雰囲気があります。こういうホックが入手できる事にも感謝しなければなりませんね。




縫製においては、いずれも可縫性の良い生地のため、縫ったり切ったりは難しくはありませんが、難しいポイントはあります。



裏地の裁断は骨が折れる作業です。

元々裏地が無いところに裏地を取り付ける訳ですから、参考に出来るパターンがありません。

なので表地を参考にしながら裏地を作図しますが、もちろん正確性が全くありません。あくまで「あたりをつける」程度の物しか出来ませんので、あとは取り付けながら調整していきます。




因みに、裏地を取り付けてて思ったのですが、ODUの裾は三つ折りのたたきになっております。この三つ折りに裏地を巻き込んで縫い直すわけですが、これはビデイルと同じ裾の始末の仕方です。こういう小さいところからもビデイルの雰囲気は出てるのかなと思います。






ボタンホールの始末も悩みのポイントでした。フロントを全てホックに変える要望でしたので、ボタンを残しておくのはカッコ悪いです。最初はたたいて修理してしまうかとも思いましたが、ODUの衿は開襟のように第一ボタンを空けて着ると収まりの良い設計になっているので、やっぱりダメだなと思いました。(以下写真もそのようになってますよね!)





そこで思いつたのは生地の切り替えです。




結果的に衿に隠れてくれて目立たなくなったのはラッキーでした。





最大の難点はフロントの作り替えですね。M-51やM-65と違って、フロントのかぶり分量が少ない。ホックの位置を5mmでも間違って付けるとジッパーがつかなくなるというくらいかぶりが狭かったので、何度もチャコを引いて確かめる必要のある、慎重を期する作業となりました。


頭側のホック。端ステッチをギリギリ縫える位置までホック位置を広くとっても...



下側ホックはジッパーに乗り上げております。つまりギリギリのギリです。失敗する事なくついてよかったです。



因みにフロントジッパーにはこだわりのポイントがありまして、ジッパーエンドの位置をやや下げております。





米軍のミリタリー衣料は総じてジッパーエンドの位置が下がっております。下の写真は自分の27pですが、やっぱり下がっております。



衿を開襟した時にジッパーテープのパイピングが覗くのがなんともミリタリーっぽいなあと思っておりまして、ジッパーエンドを下げて取り付けいたしました。





まだちょっと載せたい事もありまので後日加筆するかもしれませんが、以上のような直しになりました。

以下全体的な写真をザっと載せますのでご覧下さい。





いつもご依頼ありがとうございます。この度もご依頼いただきまして誠にありがとうございました!

MASIZIN(マシジン)|ジーンズリペアやリブ交換、厚物縫製が得意な洋服お直し屋です。

茨城県水戸市の末広町で洋服の直しを行っております。チェーンステッチ裾上げ出来ます。

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