デニムの穴埋めに関して
※
当店のデニムの穴補修に関してご紹介いたします。
基本的には、
横糸入れ→補強→穴埋めの3STEPになります。
写真を使用しながら詳しく説明いたします。
まずこのような穴のあいた生地の場合、
1、横糸を裏から貼ります(横糸入れと呼んでます)
2、芯地を縫い付けます。(補強と呼んでいます)
一応芯地にはアイロンで接着出来るノリがついてますが、履いてると絶対剥がれます。
3、穴を埋めてさらに補強します。(穴埋めと呼んでいます)
以上の流れになります。
ただ穴埋めに関しては「あれ?あんまり穴埋まってなくね?」と思われた方もいるかと思います。
当店では、縦が2cmを超える穴の場合、ステッチでは埋めきりません。
例えばですが、このような縦が1cm程度の場合はいい結果が得られます。この場合は高密度でたたいても問題ありません。
しかし、このような縦3cmの穴の場合、
このように引きつれます。こうなると、他の弱い箇所に負担がかかってダメージが飛び火する可能性があります。しかもゴワゴワします。
それでも目立たなくなればまだ良いのですが、そうでもありません。
(※当店の縫い方によるもので、他店様も同様になるとは限りません)
そのため、
穴の形によってステッチの密度が異なります。
しかし、
広範囲でも引きつれない穴埋めもご用意しております。
それが「つぎはぎ」になります。
つぎはぎ自体は良くあるとは思いますが、当店の加工方法はあまり無い方法かと思います。
こちらのようなやや大きいダメージの場合、
近い生地を用意して、
はめ込んで、
加工します。
裏面
継ぎ目
メリットは、
・広範囲でも引きつれず、ゴワつかず、フラット。
・広範囲でも、比較的目立ちにくい。
デメリットは、
・綿糸のみの縫製は不可。ポリエステルの糸を使用する必要がある。
・はめ込む生地は、似ていればなんでも使用する。つまり、ヴィンテージの場合であっても最近の生地を使用する可能性がある。
つまり、古いヴィンテージにはディテール的に向かないかもしれません。
しかし大きな穴でも目立たなくなる可能性がありますので、ヴィンテージであってもご検討はいただければと思います。
最後の最後に糸の説明をさせていただきます。
当店ではデニム修理に綿糸を使用しております。
1、柔らかい 2、染色・退色性がある 3、光沢が無い
の三拍子揃っており、非常に馴染みが良いです。
弱点は、価格が高くて色数が少ないです。そのためカラージーンズや、特殊な染料のデニムの場合綿糸で対応出来ない可能性があります。
60年代あたりまでは縫製に綿糸が使用しておりましたが、糸切れしやすいという難点があります。
そのため例えばスラックスの股ぐりに綿糸を使うと簡単にパックリほつれる可能性があるので、現在は糸切れに強いポリエステルが9割方使われております。
その分綿糸は需要が減りどんどん各メーカーで廃盤になっております。
ただ綿糸とポリ糸では風合いに圧倒的な差があります。しかも着込む程に違いが出てきますので、レプリカブランドや古着にルーツを持つブランドではまだまだ使用されております。そのため入手不可能になることは無いかと思います。
このような内容でデニムリペアを行っております。是非ご検討の程お願いいたします。
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