60s民間N-1デッキジャケットの飛び出る裏地を引っ込める
古着のジャケット。生地の縮み・縫いズレ・パターン。複数の原因が考えられますが、どのように取り組んだか詳細もご紹介させていただきます。
またこちらは私物のジャケットになりますが。前回の定休日を利用して修理いたしました。お客様のお預かりもある中申し訳ございません。
民間のN-1になるんですが、着ていると裏地がひっくりかえってきてしまうんですね。
民間品とはいえ状態が良いですが、数々のオーナーがこの裏地のひっくり返りにギブアップして手放したためではないかと予想しております。
まずは「中綴じ」をしようと考えました。これはなにかといますと、表地の縫い代と裏地の縫い代を縫い付ける事です。テーラードジャケットなんかは必ず中綴じされてますが、ブルゾンはされてない事はあります。中綴じされてないとこのように表と裏が浮いてしまいます。
で、まず肩の縫い目から綴じようと思ったのですが、衿の縫い目をみていると鬼のように縫いずれております笑
実物と民間品のクオリティの差を改めて実感しました。縫製のクオリティが全然違いますね。
b-3ジャケットなんかは30年代に採用になっている訳ですから、60年代なんてボアの製品を縫う事は当然可能であるはずですが、ボアを縫えるミシンはやや特殊なミシンになりますので、ボアのミシンをもたない工場で無理やり生産していた事が想像できます笑
その影響で、肩縫い目が鬼ズレして中綴じ出来ないので衿ごと縫い直しです。
このタックを伸ばして前の方に寄せていくと、前が全然合わなくなりました。そこで、この前の余ってる分量を切ろうと思ったのですが、、、
キレイに裁断されており、また繊維にも一切歪みが無いんですね。つまり生地よりも縫いズレによる影響が大きいと判断しまして、裁断はやめました。下手するとまた違う問題が発生する可能性があります。
という事で合わない分量の分、裏地を縮めて縫い合わせました。
あれ?最初っからこれでいいんじゃないのと思われたかたもいるはず。
生地の場合は長さが結構違ってる物同士でも、縫い合わせる事ができるんですね。生地にもよります。木とかプラスチックは絶対無理ですよね。ただこれも根拠無しでやると新たな問題を引き起こす可能性があります。
あとは予定通りの肩と脇の中綴じをして、、、
後始末をして完成です。
もちろんここ以外も随所にわたって縫いズレております。また防寒アウナーなのに袋布はサマーリネンの謎仕様です。手をポケットにいれるとスースーします笑
アームホールも細くてインナーがごわつきます。
正直、出来損ないといっても過言ではないと思いますが、ゆるくて憎めない雰囲気があって大好きなんです。emarのデカジップやカラースラブのリブもたまりません。
時々直しながら、ずっと付き合っていこうと思います。
もし民間品の着心地に悩んでいるかたがいらっしゃいましたらご相談ください。
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