実物B-15Aの袖と衿リブ交換・ファスナー交換・袖詰め
今回は実物B-15Aの袖と衿リブ交換とファスナー交換と袖詰めになります。
元々はこのような状態で、ファーとファスナーが欠損してる状態でありました。
なので台衿を外してリブに換装します。MOD化ですね。
また袖口にもダメージがありますので、少し袖丈を詰めてリブを取り付けます。
ウインドフラップのアゴの当たるところにもダメージが見られます。ここもついでに補強していきます。
タブにもダメージがみられますね。ここもファスナー取り外しついでに補強をかけます。
因みに今回使用したファスナーは、ベル型コンマーです。お客様にお持ちいただきました。
こちらも貴重なファスナーですね。
ただそれにしても状態は良いといえるでしょう。タグなんかはピンピンですし、修理すればまだまだ着れますよね。
さて、今回作業にこだわったポイントは綿糸で細かいピッチで縫う事ですね。
当時なんのミシンで縫っていたか分からないのですが、これだけ細かいピッチで縫っているのに縫いズレやピッチの乱れがないんです。裏がアルパカなのにも関わらずです。
つまり、「送りの悪いミシンで縫った結果ピッチが細かくなった」訳ではなく、「送りの良いミシンで意図的にピッチを細かくして縫っている」のだと推察しました。
このジャケットを縫っている糸は綿糸です。綿糸は強度が弱い糸になりますが、ナイロン糸の登場は50年代に入ってからです。綿糸で強度を出すためには細かいピッチで縫製する事が必要だったのだと思います。
細かいピッチで縫製すると生産性が下がります。ミシンを高速回転しても進む距離が短いからです。つまり、この年代のジャケットはコストがかかっております。
そんな事を考えていたら、綿糸で細かいピッチで縫う事は雰囲気を維持するうえで重要なポイントだと思うんですね。
因みに以下は自分が縫製した写真になります。
以上を踏まえつつ各所修理作業にあたりまして、以下のように縫いあがりました。
以上となります。この度もご相談いただきまして誠にありがとうございます。
0コメント