マシジン的チェーン裾上げ解説 ①なぜチェーンステッチが良いのか編
早速ではありますが、上の縫い目が「たたき裾上げ」、下の縫い目が「チェーンステッチ裾上げ」になります。
なんだか下の縫い目の方が良い感じに見えませんか?
「たたき裾上げ」と「チェーンステッチ」ですが、三つの違いがあると思っております。
①ステッチが美しい
②真っすぐ縫える
③うねりが出る
の3点です。
なんですが、、、
そもそもの話し、本来なんでジーンズの裾がチェーンステッチで縫われているのか。
それは、量産するためです。
こちらは「たたき裾上げ」の下糸です。家庭科の授業を思い出してください。ボビンと呼ばれるちっこい部品に糸まいてましたよね。
対してこちらがチェーンステッチの下糸です。ボビンに比べるとやたらデカイですよね。
そうなんです、、、 コーンがそのまま下糸で使えるんです。
比較してみますと、この差です笑 チェーンステッチは1回の糸交換で約5000m縫えるのに対し、ボビンは1回で40m程度しか縫えません。チェーステッチが1回の糸交換で縫ってる間に、ボビンは100回以上もボビンを巻かなければならないという不条理^^; 圧倒的非効率ッ!
因みに工場ではもっと太巻きの糸使ってるようですね。
つまり、チェーンステッチは糸交換の手間も無く、量産が出来るというわけです。
しかも、工場では生産効率を上げるためにミシンを分業にしたんですね。
・腰帯を付けるミシン
・尻ぐりとヨークを縫うミシン
・ダブルステッチをいれるミシン
・内股を始末するミシン
・シングルステッチをいれるミシン
・ベルトループを作るミシン
・閂をいれるミシン
そして、
・裾を縫うミシン
この裾を縫うミシンで縫った表情が、なんだかカッコよく見えるんですね。
まとめますと、大量生産でミシンを分業して、大量に縫える裾上げ専用チェーンステッチミシンで縫った結果、副産物的にカッコいい裾になった。
という事ではないかと思います。
ここからまた話を戻しまして、3点のポイントを説明していこうと思います。
①ステッチが美しい
冒頭の写真に戻りますが、チェーンステッチの裾上げの方がキレイに見えますよね。
こちらが裏面になりますね。
「たたき裾上げ」の方は、表も裏もミシン目になる、通称「本縫い」と呼びます。本縫いは上糸と下糸で引き合う縫い目です。
それに対してチェーンステッチは、上糸を下糸側にグッと引き込む縫い目です。そのためキレイなステッチが出ます。
因みになんですが、チェーンステッチの方が一回り太い糸を使用して縫っております。
チェーンステッチ 上糸20番手 下糸30番手
たたき 上糸30番手 下糸20番手
※数字が減るほど糸は太くなります。
そのためステッチがより印象的に良い感じに出てるんですね。
②まっすぐ縫える
チェーンステッチミシンは真っすぐ縫う事が可能です。これはチェーンステッチ裾上げミシンにラッパというガイドパーツがついているからですね。
こちらのミシンはユニオンスペシャルですが、このガイドパーツも結構貴重だったりします。
ここで注意すべきポイントは、チェーンステッチだから真っすぐ縫える訳ではない。という事です。
チェーンステッチミシンも様々ありまして、まず下記のような平台タイプのチェーンステッチミシンもあります。このタイプは基本的にガイドもなく、平台のため真っすぐ縫うのは難しいですね。もちろん、このタイプでもガイドをつけたりして縫ってるかたもいらっしゃるようです。
またユニオンスペシャルでもガイド無ければ当然真っすぐ縫うのは難しいです。つまり、チェーンステッチで真っすぐ縫えるのは、筒形でガイドがあるからという事です。
③うねりが出る
以下の写真をご覧ください。こちらは現行のリーバイス501を2カ月ほど履いた裾ですが、特徴的な斜めシワが入ってるのがお分かりになるかと思います。
このシワがジーパンっぽくてかっこいいからチェーンステッチがオススメなんです。このシワを生み出しているのは、前述のガイドです。ガイドがあるからうねりが出ます。
※ただし、ストレッチの場合は伸ばさずに縫うのでうねらせません。
以上の事からチェーンステッチをオススメしてる次第です。ただ料金が、チェーンステッチ1500円(税抜き)、本縫い800円(税抜き)となりますので、倍近く値段が違います。
今一度参考になさってみてください。
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